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アークアンドトークアソシエイツ 今岡一哉 一級建築士事務所 東京都武蔵野市
※1 東芝は08年2月19日「HD DVD」からの撤退を発表しました。これによって次世代DVD規格はソニーなどが推進する「Blu-ray Disk(ブルーレイ・ディスク)」がデファクトスタンダードとなります。
ホームシアターのつくりかた (6)
2008年02月01日


ホームシアターのインテリアデザイン −2

引き続きインテリアデザインについて考えます。

シアタールームでは最初にスクリーンの位置をきめます。このスクリーンとプロジェクターを結ぶ線が、音響計画とインテリアにとって大切な軸線となります。
基本的には正面左右のメインスピーカの位置はもちろん、壁・天井のかたちもシンメトリ(左右対称)となるようにデザインするのが理想です。これは、音楽ホール、映画館、レコーディングスタジオとまったく同じです。

仕上げの素材や色・照明器具の配置も、左右のバランスを考え、音を美しく“見せる”デザインを心掛けます。
シンメトリを強調すれば(たとえば正面に暖炉があるような)クラシカルで落ち着いたインテリアになります。モダンで軽快なデザインを志向する場合には、シンメトリを意識させないフラットな表現でまとめます。

スピーカの箱(エンクロージャ)が単にユニットの容れ物ではないように、それを取りまく部屋という箱もまた音の響きに大きくかかわります。
部屋は、形・大きさ・素材に応じて、特定の音だけを強くあるいは長く鳴らすような“癖”を必ずもっていますが、普通の部屋なら音のエネルギーは適度に箱の外へにげるのであまり気になりません。ところが、遮音のレベルが高くなるにつれて空間の音の“癖”が際だつようになります。遮音していない普通の空間ではあまり室内音響を心配しなくてもよいですが、もし遮音工事をお考えなら、遮音レベルに応じた対策をとるほうが賢明です。ひどいときにはスピーカの響きを損ない、最悪の場合映画の台詞が聞きとりにくくなることもあります。
スピーカの開発コンセプトによっても、求められる部屋の響きが異なりますので、できれば購入するスピーカを決めてから音響設計の専門家やメーカー・代理店に相談すれば、音響内装についてより具体的なアドバイスがもらえるでしょう。


システム・ケーブルなどについて

電源以外のケーブルはあらかじめ空配管(からはいかん)しておき、あとから線を通します。DVDは今後Blu-ray Disk(※1)に、CDはSACD、テレビはHDTV、地上波デジタル、CS、CATVへとシステムは目まぐるしく変化します。将来購入するかもしれない機器を想定して余分に配管しておくことが大切です。(ただし、アナログ映像ケーブルのD端子やデジタル映像・音声ケーブルのHDMI端子はコネクタ部が大きく、実際にはあとから通線できない場合があります。)

デザインをすっきりさせようとしてスピーカや機器をむやみに隠ぺいすると、ちょっとしたシステムの更新のためにわざわざ工事をたのまなくてはなりません。あまり機器が多くなるようなら、思いきって半畳程度のマシンルームをとり、アンテナ・CATV・インターネット・家庭内LAN・電話回線などを一か所に集めることも検討してみてください。機器のリニューアルやメンテナンスばかりでなく、将来の普及が予想されるホームオートメーションの導入も容易になるはずです。


バックナンバー
ホームシアターのつくりかた (1)
ホームシアターのつくりかた (2)
ホームシアターのつくりかた (3)
ホームシアターのつくりかた (4)
ホームシアターのつくりかた (5)

※この文章は友伸建設株式会社ホームページ“echou-house”用に書き下ろしたものを加筆して転載したものです。筆者は音響の専門家ではありませんが、建築士としての常識的知識と、録音スタジオの設計にデザイナーとして参加した経歴から学んだ知識をもとに、できるだけわかりやすくホームシアターを解説したいと思っています。



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