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アークアンドトークアソシエイツ 今岡一哉 一級建築士事務所 東京都武蔵野市
M邸 ピアノ教室
・所在 東京都

・施工:友伸建設株式会社 −echou
  
M邸 ピアノ教室
ヴィンテージ・スタインウェイの空間

2011年4月3日


今回は閑静な住宅地にたつ木造戸建住宅のピアノ教室での音響内装工事をご紹介します。

はじめてM先生の教室をご訪問したとき、USAで購入されたという1900年代半ばに製造されたウォルナットのヴィンテージ・スタインウェイ・アンド・サンズを見て、同行した友伸建設の五味社長の顔にも少し緊張が走りました。
スタインウェイが置かれていたのは1階6帖の洋間に設置された3帖タイプのボックス型防音室の中。周囲に空間が十分あるので遮音性能こそ申し分ないものの、狭くて暗いためにせっかくのピアノの響きと演奏空間としての居住性を大きくそこなっていることが容易に想像できました。

ご提案・打合せを経て、工事は生徒さんの夏休みを利用して約2週間でおこなわれました。
遮音構造は木造むけに重量をおとしたボックスインボックス。図面にはあらわれないすきまや配管の処理、下地のていねいなアイソレーションが専門業者の腕の見せ所です。南向きの開口部は空気層を広めにとった3重サッシとしました。
木造で悩むのは、床下の通気口や基礎パッキンと呼ばれる通気スリットなどの隙間。ふさいでしまうのは簡単ですが、建物の維持・耐久性能を損なっては本末転倒です。今回は監督さんと相談して、工程ごとに遮音測定しながら判断することにし、最終的に通気口を残して問題のないことを確認しました。
完成した室内にはピクチャーレールを利用した可動の “echou音響調整パネル” を6枚設置してピアノの響きをコントロールしています。

見違えるほど広く明るくなった教室にもどってきたスタインウェイの存在感はすばらしく、M先生の演奏を聴かせていただいたあとに「これまで聴こえなかった音で鳴るようになった」というお言葉をいただいて監督ともどもようやくほっとしました。

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