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アークアンドトークアソシエイツ 今岡一哉 一級建築士事務所 東京都武蔵野市
建築見学記 「茅野市民館」
2006年4月29日(金)
茅野駅の改札を出ると跨線橋側から直接入れる図書室を素通りし、まずは東を望む展望台へ登る。快晴の空に冠雪をのこす八ヶ岳の稜線を借景とする贅沢なロケーションです。(写真 上)
図書室(写真 中)は思わず座って雑誌を手にしたくなる気持ちのよい空間。スロープに大きなボックス(スタジオ・トイレ)を囲む路地のような通路、こどもたちはつい走りだしてしまいそうです。駅からコンサートホールへ一筆書きのようなプランをたて、日常・雑踏から静寂・非日常へのグラデーションを意識しているだろう設計者はそれを望んでいるかも。
たくさんの施設をつめこんでいる割に規模が小さい。けれど中庭をうまく使ったことで明るく開放的、施設間に適度な距離感ができ、公共施設にありがちな威圧感をまったく感じさせずとても居心地がいい。設計者の意図が成功していると思います。
鉄道のすぐそばにあること(これは立地=プログラムの問題)、扇形平面のクラシックホールなど、音響デザイナーにとっては難易度が高いプロジェクトだったと思います。残念ながらホールをみることができなかったので、機会があればコンサートホールで演奏を聴いてみたい。
その他、技術的には無耐火被覆のガラスマリオンによる構造、エントランス側のPCaコンクリート(写真 下)とFIXガラス、外装の黒いフェノール樹脂ソリッドボード(トレスパ・メテオン)など、おそらく一見しただけではわからない難解なディテールが随所に隠れています。
見どころ満載の建築でした。